1986年3月。僕は焦っていた。
バンド「EPITAPH」は順調に活動を重ね、インディーズながらライブの動員も徐々に増え、盛り上がりも毎回最高潮。しかし、Vo.ToshiとG.Nobuの2人は就活の時期に差し掛かり、就職が決まれば大学卒業とともにバンドは解散−−−なんとなくそういう既定路線の中にいた。なんとかそういう路線から外れて、バンドを続けられる環境ができないか焦っていたのだ。そこで和田誠氏がDJだったFM横浜の深夜のHM/HR番組に推しの1曲「Love Somebody Soon」を送ってみた。手紙にはそういうバンドの状況についても書いた。幸運にもその思いが届いたのか、番組でこの曲をOnAirしてもらった。OA当日、和田さんご本人かスタッフの方から家に電話があったそうだが、僕は不在で出ることができなかった。OAのお知らせだったが、この電話に出れなくて本当に残念だった(もちろん携帯電話が出現する前の話なので、こういうことが起きる)。
このビデオはその就活に入る直前のライブ。MCでも話しているように、次のライブが未定だったのはそのためだった。結局あの伝説のライブハウス、渋谷屋根裏(地下にあった時代の前、本当にビルの上階にあった時代の屋根裏)に出演したのは、これが最後となった。トリをやらせてもらったのも、最初で最後だった。
その後、既定路線通りに2人は就職を決め、翌1987年3月のライブをもってバンドは解散。社会人となってからも、途中2人は新たにリズム隊を迎えて「THE EPITAPH」として活動した時期もあった。そして時は流れに流れて2015年11月、かつて所属していた音楽サークルのOBOGライブパーティーへの参加のために集まったオリジナルメンバー。あれから28年が経っていた。2016年2月の下北沢Voice Factoryのライブは、公式なフルサイズのライブとしては29年ぶり。1回だけの復活のはずが、大勢のお客さんの後押しがあった。そして、今に至っている。
当時に比べればライブの数も少ないし、有り余るパワーを暴発させていた時代は過ぎた。でも考えてみれば、当時は大学生コミュニティーを中心にお客さんが集まっていたが、今は当時のことを知っている人、社会人になって会社の付き合いから知り合った人、サークルのOBOGつながり、メンバー個々のつながり、さらにはメンバーの息子世代、ネット経由で知ってもらった人まで、ファンの皆さんの幅は格段に広がっている。あの時、もしもメジャーデビューなんかできていたとして、今のように心地よくバンド活動ができていたかどうか、と思う。ただ一つ言えること、それはこのバンドはいつもファンの方にとても恵まれている、それだけです。それはここからもうかがえる。
どうもありがとう。
では、32年前に撮影された超貴重映像をどうぞ。これが昔のEPITAPHです。僕はベースを弾いています。
EPITAPH Live at 渋谷屋根裏(1986年3月24日)
Set List
Hang You Up
Trivial Mistake
(MC 1)
Midnight Dancers
Try To Love You
(MC 2)
Revenge
(MC 3)
Love Somebody Soon
Cast A Spell
Rape
(MC 4)
Give Me Pain
Headbangin’
(Encore)
Highway In The Night
https://youtu.be/7wxPvdO1MVY