Friday, May 8, 2015
朝食もそこそこに、チェックアウトの準備とフェス会場への移動をチェック。
この日、フェスの会場は午後からオープンだったが、キャンプサイトの宿泊者は受付が午前10時に始まり、テントを張る場所は「早い者勝ち」とウェブに明記されていたので、できるだけ早めに行こうと思っていた。
問題は、ホテルのある街の中心エリアから、フェス会場である「牧場」までの移動手段。
運営側でフェス期間中だけ臨時のバスを街から会場へ走らせることになっていたが、キャンプサイトの入口はフェスの入口と違う場所であること、朝の時間は運行していないこともあって使えないという説明があった。
ここで勧められていたのが、普通のタクシー、そして最近日本でも話題になりつつある「UBER」、アメリカではそのライバルとして急成長している「Lyft」だ。
出発前に下調べした段階で、UBERは日本語版のアプリをiPhoneにダウンロード済み。このアプリで海外での利用も問題ないし、PC等からウェブサイト経由で利用状況などの確認もできる。
アプリへの登録方法は、氏名、メールアドレス、携帯電話番号を入力、パスワードを設定して、支払用のクレジットカード情報を事前に登録するだけ。
顔写真はできれば分かりやすいものを自撮りしてアップしておくと、現場でドライバーが道路で待っている自分を確認しやすいし、顧客としての信頼度を相手(ドライバー)に伝える意味でも良いかもしれない。
日本では規制の関係で黒塗りハイヤーに利用が限定されているが、アメリカでは予算や利用シーンに合わせてUBER X、TAXI、BLACK、SUV、LUXなどの車種(グレード)が選べる。
僕が使ったのは、当然一番安いUBER X。これは日本で言うと白タクということになるのだろうが、UBERに登録されたドライバーが、自分の車を使って乗客を運ぶ運転サービスだ。
アプリを立ち上げると、自動的に現在地の地図(google map)が表示され、車種を選ぶと、即座に近くにいる車のアイコンが数台、もう地図の上を行ったり来たり動いている。
乗りたい場所を地図のピンで指定。もちろん表示されている現在地を指定してもいいし、少し離れた広い通りに動かしてもオッケー。
次に目的地を入力。何しろ行き先は「牧場」だ。周りに分かりやすい建物などあるはずもなく、ウェブにあったキャンプサイト入口の住所をコピペしてそのまま入力。
すると…、アプリが地図の上に目的地までの最短距離の行き方を自動的に表示、なんとこの時点で、料金の見積まで出てしまうのだ。
スゲー!
それで配車を申し込むと、一番近くにいる車がやって来る。その時点で、その車の写真、メーカーやモデル、ドライバーの名前と顔写真、あと何分で到着するかのカウントダウンが表示されるので、それが現れるのを待つ。
そして……、そいつは時間通りに現れた。申し込んでからわずか2分ほどだ。
Hi!と軽く挨拶を交わして早速荷物をトランクへ入れてから、後部座席に乗り込む。
一番安いUBER Xと言えども、年式や走行距離が一定の基準を過ぎた古い車は使えない規定になっているようで、普通のセダンだったけど、車内はきれいだし、乗り心地も良かった。
さて、乗り込んだ時点で、行き先を不慣れな英語で説明する必要なんてない。
なぜなら、ドライバーの方も既に僕の情報と目的地が表示された最短ルートの地図をスマホに共有しているからだ。ここが画期的でしょ!
走りながら両者のアプリに走行中の車の位置がナビ表示されている。これなら、わざと遠回りして料金を上乗せするようなこともできない。
車内では、「日本から来た」「おー、良く来たねぇ」「フェスの会場に向かっているんだ」「何のフェスだい?」「サイケデリックロックのフェスだよ」「へー、そんなの知らないなぁ。それを日本から観に来たのか!」
なんて感じの世間話をして、
「実はアメリカに来たのも初めて、UBERを使ったのも初めてなんだよ」
と言うと、そこからはしばらくUBERの使い方や仕組みの説明や、日本では規制がガチガチでハイヤーしか無いんだよ、などの話。
すると、そのドライバーさん、オースティンから南西100kmほどのサンアントニオという街の出身なんだけど、その街も前はUBERはけっこう自由にやれてたんだけど、途中から業界団体なんかの圧力がかかって、今は昔より規制が厳しくなった、みたいなことを言っていた。
つまり、アメリカでも都市ごとにUBERの営業に対する規制は違うということらしい。その点、オースティンではUBERの利用は自由度が高く、かなり受け入れられているようだ。
そう言えば、オースティンで最近始まった新サービスで「UBER POOL」というものもあった。これは行き先が同じ場所だったら、途中で乗れる人は乗って目的地まで行けばみんなでワリカンできる、つまり「乗り合いタクシー」みたいなものだ。これはヒッチハイクの文化が残るクルマ社会のアメリカならではだなーと思った。まぁ確かにみんなで行けば、料金も安いしね。フェスに行く!っていうのは、このサービスを利用するのにいい機会かもしれない。
そうこうしているうちに、目的地に到着。実際はその住所からしばらく奥に入った先に広い駐車場があり、そのまた先がキャンプサイトの受付だった。ちょっと目的地からズレたけど、さすがにそこを歩くのは大変だろうと思ってくれたのか、ドライバーさんは駐車場まで乗せてくれた。すでに駐車場の手前で車が20台ほど並んで待っているのが見える。
そこで停めてもらい、さあ料金を払わなくちゃ。
いやいや、それも必要ないのです!
なぜなら、着いた時点で見積を元に算出された料金が確定して、あらかじめ登録したクレジットカードからその場で引き落とされるから。
チップも不要。つまり、お客もドライバーも一切現金を持たずに移動できるっちゅうことなのです。
そして、ドライバーには後日、その金額から手数料など引かれた金額が、口座に入金される。
ネット上ではUBER Xにチップはいるかいらないかという議論も見かけたけど、基本的に全てキャッシュレスで動くのがUBERの存在意義としたら、よほどの事でもない限りチップは要らないのではないだろうか。実際、今回のドライバーさんもトランクを開けて荷物を僕が取り出すと、「そんじゃ、楽しんで。ありがとう!」って行ってしまったし。
それより彼が言っていたのは、乗車した後にそのドライバーがどうだったか、星5つで評価する項目があって、その評価のことをとても気にしている様子だった。これはドライバーもそのお客がどうだったか同じ様に評価する仕組みになっているのだが、ここでもしも評価を下げてしまうと、後々仕事を続けるのが難しくなっていくらしい。もちろん彼には、星5つの満点評価を出しておきました。
ここまで読んでもらったら分かるように、今回利用したUBER Xは、タクシー(いわゆる運転のプロ)じゃない人の車に乗るという乗客の不安をどうしたら取り除けるのか、そこでネックになるであろう問題点を、徹底的にITの力でつぶしているように思う。
結果、待たされる事もなく、タクシーより安い値段で、行き先に最短距離で、現金を一切使わないで、到着することができた。
なんて便利なんだろう!
こういうのを本当のIT革命と言うのだな。仮想でなく、実態の社会を画期的に便利にするっていうこと。これをITで実現することこそ、価値があるだろう。それには技術者側の才能だけじゃなくて、仕組みを変える、規制を解く、といった、現実に横たわる難題を打ち抜く力を持った人間が必要だろう。
おっと、しかも今回はフェスとUBERは提携もしていて、会場に行く時、あるプロモコードをアプリに入力すると、利用料金の最初の$20までが無料!になるキャンペーンもやっていた。後日、プロモコードを入れたはずだったのに無料になっていなかったので問い合わせると、僕が今回UBERの初めての利用だったことを考慮して、後から$20分を返金してくれた。何でプロモコードが適用されなかったのかは、結局分からなかったけど。
今回は11.08マイル(17.8km)、21分24秒の乗車で、合計$20.47。で、後から$20返金してもらったので、
な、なんと$0.47!!
なんでそんなに細かく覚えているのかというと、、、
UBERのウェブサイトにログインすると、自分の乗車記録(日時、場所、乗車距離、乗車時間、料金、乗車記録の地図、ドライバーの名前と写真)が、全部いつでも後で確認できるから。
スゴすぎる!!
ここに「落し物を見つける」というボタンもあるので、万一やってしまってもフォローしてもらえる。
今回、ライバルの「Lyft」は使えなかった。理由はアプリに日本の携帯番号が登録できなかったから。まだアメリカに限定されたサービスだからだろう。いつか機会があったら、こちらも利用してみたい。